ショートショートという耳慣れない言葉に
字が下手で書くのが嫌いな少年は魅了された
短くてもいいんなら僕にも書ける
だがストーリーを考えるのが苦手だったから
少年の書くものは知らず知らずのうちに
筋書きのない詩になっていた
遠い昔人間の心身から生まれた言葉というもの
今や地球上に止めどなく氾濫して
裸のはずの実体が言葉で着膨れている
星さんは人間は卑小だと知っていたから
短い言葉でエコノミカルにシニカルに人間を書いた
それが星さんの人間へのクールな愛ではなかったか
年老いて少年はいま言葉のインフレに負けまいと
短い言葉で詩を書こうと試みている
星さんのショートショートを懐かしみながら
2020年11月
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