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『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』についての講談社への抗議と
講談社刊星新一作品の版権引きあげのご報告


2017年6月8日
星マリナ


 森鷗外の妹で、私の曽祖母である小金井喜美子の和歌集の刊行をめざして資料をあつめるなか、私は『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』(2011年 講談社刊 六草いちか著)という本の存在を知り、購入いたしました。

 私は小金井喜美子が書き残した森家の回想録に魅せられ、この半年ほど、「私も父との思い出を、こんなふうに生き生きと書き残せたらどんなにいいだろうか」と夢想していたのですが、本書を読んでその思いは薄れていきました。 喜美子のたくさんのエッセイのなかからほんの数行を引用し、独自の解釈を加え、人格を否定するような記述が、本書には多くありました。

 本書ではまた、星新一著『祖父・小金井良精の記』の1節を引用し、まるで孫の星新一が喜美子とその夫である良精を非難しているかのような話が展開されているのでした。 いったいどうするとこのような解釈になるのか、父が生きていたらどれほどの怒りだっただろうかと、そのことばかり考えます。


 この本が出ていることに6年も気づかなかったことに対して父に申し訳ない気持ちになり、父が敬愛してやまなかった喜美子と良精の名誉と、そして父とその著作の名誉を守りたいと考えた私は、小金井喜美子と星新一の原文を本書と照らしあわせ、講談社に対して抗議文を書きあげて送りました。 そして講談社へ出向き、文芸局の取締役および局長と面会しました。

 「表現の自由」と、作家やその家族のプライバシーを書くことの「文化的意義」を最大限に考慮しても、本書における故人への中傷は行き過ぎであり不当であるという私の意見を述べ、講談社に対し、原文作者(小金井喜美子と星新一)の意図と異なる解釈で紹介され、それが喜美子と良精を批判する材料に使われている引用箇所について、訂正文を公表していただきたいという要望を出しましたが、講談社はその必要性を認めず、ご了承いただけませんでした。 私としては解決へむけて全力をつくしたつもりでしたが、講談社との間で和解にいたることができませんでした。


 講談社とはこの数年で著作権に関する4件の問題があり(以下にリンク)、これまでは毎回和解してきたものの、すでにたいへん疲弊していたという事情が私にはあります。 今回、誠意のある対応をしていただけなかったのは残念でなりません。 そのため、このまま父の版権をお預けすることに抵抗を感じてしまいましたので、現在講談社より市販されている星新一の単著4点(以下に記載)の版権を引きあげる決断をいたしました。

 父は1985年に、当時9点あった講談社文庫のうち8点の版権を引きあげています。 その決定的な理由が何であったのかは記録が残っておらずわかりませんが、32年を経て再度同じ出版社から版権を引きあげるという結果となってしまいました。

 今回の対応によりご迷惑をおかけする関係者がいるであろうことは理解しており、その点については深くお詫び申しあげます。 みなさまのご理解を賜れますことをお祈りしております。



 下記4点は、現在の在庫を売り切ったあと絶版となります。ご了承ください。

 講談社文庫『エヌ氏の遊園地』 67刷
 青い鳥文庫『おーい でてこーい ショートショート傑作選』 25刷
 青い鳥文庫『ひとつの装置 ショートショート傑作選2』 8刷
 講談社英語文庫『The Capricious Robot』(きまぐれロボット) 26刷

 日本語の書籍3点に収録されている作品はすべて他社刊の書籍に収録されていますので、今回の対応により読めなくなる作品はありません。 英語文庫のロバート・マシュー氏による英訳は読めなくなってしまいますが、『きまぐれロボット』の英訳自体は電子書籍『The Whimsical Robot』で読むことができます。



関連事項
講談社との4つの案件について



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