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大槻ケンヂ「ボッコちゃんを読み直して『中学生からやり直せ!』」
 星新一作品を最初に読んだのは小学校六年生の頃であった。当時の読書好きな少年の多くが、中学入学と共に文庫本(それは小学生にとっては「大人の読むもの」という認識だった)に興味を持ち、まず手始めに星新一のショートショート集を購入、その後、筒井康隆作品等を経て、それぞれ好きな方向へむかって行くという定番の流れに乗っていたなかで、わずかだが一年早く星先生の世界に出逢っていたというわけだ。最初に読んだ作品集やはり定番「ボッコちゃん」であったような記憶がある。

 中学へ上がる事前の、春休みにも星新一を読んでいた。「白い服の男」だ。こちらのタイトルをしっかりと覚えている理由は、その文庫本を読んでいる最中に、近所で火事があったからだ。文庫本を置いて、火事見物に飛び出した。それからしばらくして中学校の入学式があり、前に並んだ同級生に、話のきっかけにと「こないだ火事あったよね。君見た?」と語りかけたところ、「あれは僕の家だよ」と答えが返ってきた。

 これ、すべらない話。"鉄板"であろう。しかもその同級生と組んだロックバンドで後にプロデビューすることになるだろうなどとは。まったく星新一がいなければ筋肉少女帯も生まれていなかった...ってことはないが。

 08年、筋肉少女帯がデビュー20周年を迎えた。記念シングルのカップリングに「中学生からやり直せ!」という曲を入れた。バンドを始めた中学生の頃の初心に戻りましょうとの意味がこめられている。

 中学生に戻って、さてではまず何をやるべきかと考え...星新一を読み直せ。「『ボッコちゃん』を読み直せ!」と、歌詞に書いた。星新一の作品は、小学校高学年から中学の頃、本を読むことによって生まれる創作への意欲、衝動、それを象徴する何よりのものであると思ったからだ。

バックナンバー
望月一扶「映像的星新一論」(2012.01)
枡野浩一「ショートショートとショートソングと」(2011.11)
和田誠「ご対面」(2011.10)
井上雅彦「ライオンと象とくまちゃん」(2011.07)
山本孝一「結婚は人生の酒場である」(2011.05)
豊田有恒「星新一の不思議」(2011.04)
御影たゆた「星コーチ」(2011.01)
大澤徹訓「第三の師匠」(2010.12)
瀬名秀明「父を書く」(2010.11)
眉村卓「星新一のショートショート」(2010.9)
石川喬司「〈神様〉の電話」(2010.8)
高井 信「20歳の夏」(2010.3)
江坂遊「星の光り」(2009.12)
浦沢直樹「星新一と私」(2009.8)
とり・みき「ホシヅルの日」(2009.1)
タモリ「星新一先生が泣いた夜」(2008.12)
新井素子「星新一氏のショートショート」(2008.11)
林敏夫「星新一氏とエヌ氏の会」(2008.10)
筒井康隆「星さんについて、言い忘れていたことなど」(2008.09)
小松左京「星新一さんについて」(2008.08)
星マリナ「眠らない家」(2008.07)

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