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新井素子「星新一氏のショートショート」
 去年、角川書店さんで星さんのショートショート集を編ませていただいた。星さんの1001編のショートショートの中から、自分の好きなお話だけ選んで、一冊の本にまとめる。これはもう、何ともやりがいのあるっていうか、非常に楽しい仕事だった。

 また、去年は、最相葉月さんがお書きになった星さんの評伝『星新一 一〇〇一話をつくった人』が出版されたり、星さんの没後十年にあたるということで、雑誌で星さんの特集が組まれたり、星さんがらみのイベントなんかもやったのだけれど、それで、へーっと思ったことが一つ。いろいろな人が、いろいろなところで、『私の選んだ星新一ベスト』みたいなことをお書きになっているんだけれど、これがもう、ほんっとにバラエティ豊かっていうか、みごとにばらばら。まぁ、みなさん、「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」みたいな、誰が選んでも星新一ベストって作品は、故意にはずしたってこともあるんだろうけど、「え、あなたのベストはそれですか」って、非常に楽しませていただいた。星さんのショートショートを集めたお芝居なんかも見にいったんだけれど、そこでとりあげられていた星作品なんて、星さん御本人が御自分の本にいれてなかった奴だったりしたし。

 あらためて、星新一の凄さを実感した。1001編という数のショートショートをお書きになったってだけでも凄いけれど、ベストを選ぶと、見事にばらばらになる。それは、作品がそれだけバラエティにとんでいるっていうことでもあり、バラエティにとんだ作品のどれもが、誰かのツボにはまる魅力をもっているってことでもある。

 星さんはひとりしかいない。当たり前だけれど、こんな希有な小説家は、多分二度とでてこないと思う。同じ時代に生きて、リアルタイムで星さんのお話を読めて、ほんっと、私は幸せだったと思う。

バックナンバー
望月一扶「映像的星新一論」(2012.01)
枡野浩一「ショートショートとショートソングと」(2011.11)
和田誠「ご対面」(2011.10)
井上雅彦「ライオンと象とくまちゃん」(2011.07)
山本孝一「結婚は人生の酒場である」(2011.05)
豊田有恒「星新一の不思議」(2011.04)
御影たゆた「星コーチ」(2011.01)
大澤徹訓「第三の師匠」(2010.12)
瀬名秀明「父を書く」(2010.11)
眉村卓「星新一のショートショート」(2010.9)
石川喬司「〈神様〉の電話」(2010.8)
高井 信「20歳の夏」(2010.3)
江坂遊「星の光り」(2009.12)
浦沢直樹「星新一と私」(2009.8)
大槻ケンヂ「ボッコちゃんを読み直して『中学生からやり直せ!』」(2009.6)
とり・みき「ホシヅルの日」(2009.1)
タモリ「星新一先生が泣いた夜」(2008.12)
林敏夫「星新一氏とエヌ氏の会」(2008.10)
筒井康隆「星さんについて、言い忘れていたことなど」(2008.09)
小松左京「星新一さんについて」(2008.08)
星マリナ「眠らない家」(2008.07)

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